親族や知人とかわした書簡なども出てきて興味深い。
「索引」や「イーハトーヴたべもの帖」に筆者の丁寧な仕事っぷりがうかがえます。素晴らしい。
宮沢賢治の書く食べ物は、どれもこれもおいしそう。
明治、大正、昭和初期の食べ物。
山や海や町の食べ物。
西洋からやってきた食べ物。
あるいは架空の食べ物。
時にはヒトが料理の素材になりかかったりもする。
今だって食べられる物はあるけれど、きっと私の口にしている物とは別物に違いない。
でも牛乳だけは幼少の宮沢賢治が嫌った気持ちがわかる。私も子供の頃、牛乳には難儀した。毎年夏休みに行く親戚宅で「体に良いから」と出される搾りたての牛乳は、生温かくて、生クリームみたいに濃厚で、獣と草の匂いがした。大好きな町の冷たくて薄い飲み物は、牛乳とはまったく違うものだったのだ。
だから作品に出てくる食べ物は、想像よりもずっと、酸っぱかったり、塩っ辛かったり、灰汁が強かったりする野性的な味なのかもしれない。
でもね、やっぱり食べてみたいなぁ、なんて思うのです。
※旧ブログのコンテンツを再掲載
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