2012年9月22日土曜日

宮沢賢治のレストラン——中野由貴・文、出口雄大・絵

宮沢賢治の作品に出てくる食べ物と宮沢賢治の関わりや時代背景などを紹介。
親族や知人とかわした書簡なども出てきて興味深い。

「索引」や「イーハトーヴたべもの帖」に筆者の丁寧な仕事っぷりがうかがえます。素晴らしい。







宮沢賢治の書く食べ物は、どれもこれもおいしそう。
明治、大正、昭和初期の食べ物。
山や海や町の食べ物。
西洋からやってきた食べ物。
あるいは架空の食べ物。
時にはヒトが料理の素材になりかかったりもする。

今だって食べられる物はあるけれど、きっと私の口にしている物とは別物に違いない。

でも牛乳だけは幼少の宮沢賢治が嫌った気持ちがわかる。私も子供の頃、牛乳には難儀した。毎年夏休みに行く親戚宅で「体に良いから」と出される搾りたての牛乳は、生温かくて、生クリームみたいに濃厚で、獣と草の匂いがした。大好きな町の冷たくて薄い飲み物は、牛乳とはまったく違うものだったのだ。

だから作品に出てくる食べ物は、想像よりもずっと、酸っぱかったり、塩っ辛かったり、灰汁が強かったりする野性的な味なのかもしれない。

でもね、やっぱり食べてみたいなぁ、なんて思うのです。

※旧ブログのコンテンツを再掲載







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